眞人は母を火事で亡くすことにより、愛着対象を失ってしまう。
再婚後は表情も暗く常に不機嫌な様子で、幸せそうにみえません。眞人は父と夏子に愛されていないのか考察してみます。
君たちはどう生きるか全解説はこちら
眞人の父と夏子に愛情はないのか
眞人の父と夏子は愛情溢れる良い親のように見える。しかし、眞人の表情はとても暗く常に不機嫌であります。
眞人が不機嫌なシーンをまとめてみます。
- 夏子登場時笑顔がない
- 引っ越し時常に表情が硬い
- お手伝いさんと食事をするも美味しくなさそう
- 両親と朝食を取るが楽しくなさそう
- 学校へ車で送ってくれるという父に対して嫌そう
- いじめられていると騒ぐ父に呆れ顔
- 石で頭を傷つける自傷行為
終始不機嫌な様子であるね。
なぜ眞人が不機嫌なのか考えてみましょう。
- エディプスコンプレックスに陥っている
- 愛着障害
- 隠された攻撃性
- 母を救えなかった罪悪感
エディプスコンプレックスにより、母(夏子)を独り占めしたい気持ちから父に対する敵意が隠されています。☑エディプスコンプレックスとは
また、母を亡くしたことから愛着対象を失い、世界に対する安全感を失い周りが敵だらけになってしまっています。☑愛着対象を失うとどうなるのか
不機嫌であることでこうなった(僕はひとりぼっちになった)のは、お前たちのせいだという怒りを間接的に伝えています。
しかし、一番怒っているのは自身に対してであり、母を救えなかった自分に対して怒りを抱えています。母を救えなかったという”罪悪感”は、自分は生まれてきてはいけなかったとさえ苦しむことに繋がります。
お前たちの愛情は認めないというような、反抗的な態度をとっているのは隠された攻撃性を秘めているためです。
君たちはどう生きるかの大きなテーマ①母の死を乗り越える②エディプスコンプレックスを乗り越える③夏子と親子になる④自立し仲間と生きていくが描かれています。
眞人に対する父と夏子の愛情
眞人に対する父と夏子の愛情表現を見ていきます。
- お金持ち
- お手伝いさんがいる屋敷
- 戦時中なのに豪華な食事
- 車で登校
- いじめられていると学校に乗り込む
- 不機嫌な眞人にも優しく接する夏子
戦時中にもかかわらず、かなり裕福な生活をしていることが伺えます。
傍から見れば十分に愛されているのですが、眞人の望む愛ではないのです。
眞人の望む愛とは
眞人の望む愛とは何か見ていきます。
- 不機嫌でも愛してい欲しい
- 自分の苦しみを分かって欲しい
- 全てを認めて欲しい
眞人は石で自分を傷つけていることからも、自傷行為をしていることが分かります。
このように自傷行為を行う子どもに対して、愛情の与え方を間違うと余計にひどくなったりするのです。
母を亡くしたことにより自分は生まれてきてはいけなかったと苦しんでいる眞人に対し、父や夏子の愛し方では愛情が伝わらないのです。
自傷行為がある子への接し方
眞人のように自傷行為のある子どもが必要としている接し方を見ていきます。
- 非難はしないが過度に同情もしない
- 身体的損傷のケア
- 内面の訴えの傾聴
- 自傷行為の状況理解
- 自傷行為に変わる対処行動の探索
- 連携体制の確立
上記にあるように、死にたい気持ちを否定することなく過度にも同情をしない対応が必要になってきます。
親は子どもがどのような状況(自傷や引きこもり)にあっても、決してその子を自分の悲しみにしてはいけないのです。
子どものありのままを認めることで、回復も早く社会復帰に繋がります。
眞人に必要な愛情
眞人は自分のせいで母がいなくなってしまったと罪悪感を抱え、苦しんでいます。
また、父や夏子もいなくなってしまうのではないかと恐怖に駆られているのです。詳しくはこちら≫☑眞人は愛着障害?
そのような恐怖に駆られている子どもに対して、安定的な接し方(安全基地になる)が必要になってきます。
眞人のようにいくら攻撃性を向けてきても、見捨てることなく接することでどんな自分でも愛されるのだと他者に対する安心感に繋がり、次第に落ち着いていきます。
必要な声掛け「私はどこにも行きません、あなたは私の悲しみにならない、私の幸せでしかありませいん」存在そのものを認める必要がある。
まとめ:君たちはどう生きるか解説
眞人は十分父と夏子に愛されているが、眞人の望む愛ではないことがわかりました。
君たちはどう生きるかでは望む愛ではなくとも、愛され生まれてきてよかったと気づくことで成長できるストーリーになっています。
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