アドラーの考える病まないための考え方:人間関係
健康な対人関係とは、横の関係で対等に成り立っているものです。
アドラーは縦の関係が人の精神的な健康に最も悪影響であると考えました。
縦の人間関係
縦の人間関係とは上下関係がある関係性のことです。
実際に、役職で上下関係があり責任の差はあるかもしれませんが、人間としての上下関係は誰にもないのです。
このようにどのような人とも上下関係はなく、横の関係と考え関わることで相手との関係や自分の人生がより良いものになります。
全て対等な関係
先に産まれただけ、先に少し上手く行っているだけであり、皆進む道は同じです。
そこに優劣はなく、ただゆっくり進むか早く進むか、先に進むかの違いがあるだけで全ての人は対等であります。
縦の人間関係を人々が意識して行動することにより次のような様々な問題が出てきます。
縦の人間関係の悪影響
- 優劣をつける
- 競争する
- 下に見る
- へりくだる
- 下を見て安心する
縦の人間関係であることで、人々は優劣をつけ、競争し、相手を下に見ます。
また、自分を下にしてへりくだる原因になり、自分より下を見て安心することに繋がります。
このように人間関係を縦の人間関係であると考え行動することで様々な生きづらさになるのです。
対等な横の関係でないとダメなのか
老人に対して縦の関係で接するとどうなるのか、とても尊厳のある関りができるとは思えません。
最近保育士による虐待が多くなっていますが、この問題も縦の関係によるものであると考えられます。
子どもを対等な関係と見ていないため、下とみて下のものには言葉は通じないであろうと考えるのです。
言葉による問題解決をしなくなる
対人関係で問題があった際に、言葉を使って解決することが重要ですが、縦の関係であると言葉による解決を避けようとします。
相手に話をしても伝わらないと考え、相手を下に見ているので、言葉による問題解決をしようとしません。
しかし、他人とはわかり合えないものであり、話をすることで相手の考えや気持ちを理解していくしかないのです。
他人とはわかり合えないとは
アドラーはそもそも他人とはわかり合えないものであると考えました。相手を全て理解することは不可能であるので、言葉によるコミュニケーションで理解を深めることが重要になるのです。
横の関係は人生を豊かにする
縦の関係であれば、上記のように関係がいびつなものになり精神に悪影響を及ぼします。
全ての人と横の関係であると考えることで、他人と競争する必要がなく、優劣を気にする必要がなくなります。
また、人より良く見せようと自分を誇示する必要もなくなるのです。
病まないために必要なこと
人生を豊かに幸福に生きるためには、横の関係が重要になりますが、その前に必要な精神的に健康である状態というのはどういうことか考えます。
自己受容する
今のありのままの自分で良いと、受け入れることが精神的に健康であります。
この自分という道具はたしかに癖があるけれども、大切なことはこれをどうやって使いこなすかということです。そのためにはこの自分という道具を好きになる、あるいは英語の表現でいうと自分を受け入れる(accept)ことができなければなりません。
アドラー心理学入門 岸見一郎 p100
どうしようもない醜い自分を好きにならずして、幸せになることはできません。
今の自分を受け入れ、自身を知ることで弱みと思う部分も使い方や捉え方次第で強みになるのです。
アドラーの言うように、与えられたものをどのように使うかが幸福に繋がります。
コミュニケーションが苦手で「暗い」と思っている人が、自分を受け入れることは容易ではないでしょう。
しかし、「暗い」は「相手の話をよく聞く人」と捉えることができるのです。
この与えられた「暗い」をどのように捉え、使いこなすかで人生が豊かなものになっていきます。
他者を信頼する
自己受容が出来るだけでは、精神的に健康で幸福であるとは言えません。
他者を信頼することが出来なければ、世界は敵だらけになり生きづらいものになります。
他者は自分の見方と信じ、自分を助けてくれる存在であると認識することであなたにとって世界は安心できるものになるのです。
他者貢献
自分を好きになり、他の人を信頼していても、自分は役に立たない人間だと思っていると幸福にはなれません。
また、自分のことにしか関心がなく他者から得ることしか考えない人は仲間とコミュニケーションを取ることが困難になります。
仲間と分け合い協力し合うことで、よりよい人生になっていくのです。
しかし、自分を犠牲にして他者に過剰に貢献しすぎることは行き過ぎた他者貢献です。
何か特別なことをしたときに役に立つ自分という考えは健康的な考えとは言えません。
何か具体的に他の人の役に立っていることだけでなく、自分の行っていることが誰かの役に立ち、自分が世界の役に立っているという感覚が重要になります。
- 自己受容
- 他者信頼
- 他者貢献
全ての条件がそろうことで幸福になることができる
参考文献
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